IT業界に未来がないといわれる理由の1つに、近年AIの発展スピードが急速に高まっていることが挙げられます。オックスフォード大学と野村総研が実施した調査では、「現在の仕事の約半分はAIやロボットに取って代わられる可能性がある」という結果も出ています。
AIがエンジニアに与える影響は職種によって異なります。例えば、システムエンジニアの仕事は、顧客と対話しながらシステムを設計するため、創造性が必要とされます。AIに創造性を求めるのは難しいので、仕事を奪われることはないでしょう。しかし、システムエンジニアが作成したシステム設計をもとに実際のプログラムを作成するプログラマーの作業は自動化できるため、いずれAIに取って代わられる可能性があるといわれています。
人手不足の解消と開発コスト削減のため、日本ではなくベトナムなど人件費の安い国に開発を委託する企業が増えています。海外への委託業務の比率が高まるにつれ、国内のエンジニア需要は減少すると予想されています。そのため、「海外人材の増加で国内エンジニアの将来性がなくなる」との見方もあります。
日本のIT業界は「元請け→下請け→孫請け」というピラミッド構造です。下請けや孫請けは立場が弱く、元請けからの要求を断りにくいため、残業や休日出勤になることも少なくありません。それに、ピラミッドの下に行くほど給料も低くなります。
また、IT業界は労働日数自体はそれほど多くないものの、他の業界と比べると繁忙期やトラブル時に残業や休日出勤になることも少なくありません。厚生労働省の「毎月勤労統計調査」(全国調査・地方調査)によると、建設業の所定内労働時間は150.3時間、所定外労働時間いわゆる残業は14.3時間ですが、IT業界の所定内労働時間は133.5時間なのに対し、所定外労働時間は15.4時間でした。そのため、IT業界では過重労働による心身の不調で労災請求されるケースも多く、「労働環境がブラック=将来性がない」と考えられているようです。
将来活躍する人材を育成するためには、新人教育が重要です。しかし、残念ながら適切な研修を行っていない企業もあります。主な原因としては、締め切りに追われている、人手不足で新人をケアする時間が足りない、などが挙げられます。その結果、スムーズに仕事を覚えられない、スキルが身につかない、働く意欲が湧かない、という事態に陥りやすくなります。
IT技術はめまぐるしく変化しています。数ヶ月前に覚えたスキルが使えなくなることも珍しくありません。そのため、エンジニアは常に最新の情報や技術をキャッチアップする必要があります。積極的に学ぶ姿勢がなければ第一線で活躍し続けることはできないでしょう。
フリーランスという働き方が注目されている理由
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